任意整理の手続きの流れとかかる期間とは?
任意整理をする際、どういった手続きの流れになるのか気になるという方も多いでしょう。 取引履歴の開示請求をしたり、和解の交渉をしたりと、任意整理には様々な手順があります。 ある程度の流れを知っておけば、任意整理をするときも安心です。 また手続にはどの程度期間が掛かるのか知っておくことも大切です。 今回の記事では任意整理の手続きの流れや期間など、気になるポイントを紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
任意整理がオススメな人とは?
任意整理は裁判所を介さず、任意に相手方債権者を選んで借金の減額が行えることから、他の債務整理に比べるとハードルが低めになっています。 保証人の付いていない債務だけを選ぶことが出来るので、保証人に迷惑を掛けたくない人にオススメです。 手続きが比較的簡単で短期間で済むことや、家族に知られずに進められるというメリットもあります。 特にオススメな人は、2007年以前からの古い借金がある場合です。 過払い金が発生している可能性が高いので、債務を大きく減額できるチャンスです。 任意整理では基本的に元本を減額することは出来ないため、過払い金が無ければ借金を大きく減らすことはできません。 また、デメリットとして必ずブラックリストに載ってしまいます。 これによって、一定期間ローンを組んだりクレジットカードを作る事が出来なくなるので注意しましょう。
任意整理の手続きの流れとかかる期間とは?
STEP1, 面談・相談
まずは司法書士や弁護士と電話・メール・訪問、いずれかの方法で面談・相談をして依頼する事務所を検討します。 任意整理を得意としていること・明確な料金体制・手続きの流れを素人が分かるように説明してくれるかが、判断ポイントです。 任意整理は全ての手続きを専門家に行って貰うことになるので、信頼して任せられる事務所を選びましょう。 事務所によっては依頼前の相談を無料で行っていることも多く、この時点では料金がかからない場合もあります。 料金を請求する事務所は1時間1万円程度が相場です。
STEP2, 委任契約
依頼する事務所が決まれば、改めて依頼内容の確認を行いましょう。 この時、どのような方針で任意整理を行うか決めておくことが重要です。 それほど減額できなくても良いから早期解決を望む、時間をかけてでも大幅に借金減額をしたいなど要望を伝えておきます。 依頼時の料金など契約内容をしっかり確認することで、事務所とのトラブルを未然に防げます。 契約内容に依頼者と専門家の両者が合意すれば、委任契約を結びます。 委任契約は代理人となる専門家に手続きを任せると証明する契約です。 任意整理の今後の流れを左右する部分なので、慎重に行いましょう。
STEP3, 受任通知の送付、債権調査
委任契約を結ぶと貸金業者に受任通知を送付するのが一般的な流れになります。 受任通知は委任契約を結んだことを貸金業者に報告する書類です。 受任通知が貸金業者に届いた時点、取立てや督促は一時的に止まります。 貸金業者からの連絡は基本的に事務所が窓口となっているので、家族にばれる心配はありません。
STEP4, 取引履歴の開示請求
受任通知を送る際に、同時に取引履歴の開示請求も行います。 取引履歴とは、貸金業者との金銭のやり取りが、詳細に記載されている重要な記録です。取引履歴を見れば正確な債務額を知り、貸金業者と交渉する流れに移ることができます。貸金業者の対応によって異なりますが、取引履歴を取り寄せるまでには2週間~1ヶ月程度かかります。 専門家が取引履歴の開示請求の手続きを代行してくれますので、基本的に依頼者がやることはありません。
STEP5, 引き直し計算
取引履歴を取得できれば、引き直し計算によって債務額を確認する流れに移ります。 過払い金の発生はこの段階で確認できます。 任意整理では利息のカットができますが、元本自体の減額は基本的にできません。 ただし、過払い金があれば過払い金請求を行うことができ、その過払い金を元本の返済に充てることができます。 場合によっては、お金が戻ってくる可能性もあります。 任意整理は正確な債務額を把握することが大切です。 相談の段階で引き直し計算まで行ってくれる事務所もあるので、適宜活用しましょう。
STEP6, 和解交渉開始
プランが決まれば、いよいよ貸金業者との和解交渉の流れになります。 交渉するポイントは大きく分けて2つあります。 1つ目はこれまで余分に払って来た経過利息の回収と、今後の借金に上乗せされる将来利息のカットです。 余分な利息がなくなれば、借金が減額します。 2つ目は長期間の分割払いです。 100万円を一気に支払うことはできなくても、毎月5万円ずつを20ヶ月の分割払いなら支払える可能性があります。 毎月の返済額と分割払いの期間が交渉する部分です。
STEP7, 和解成立
貸金業者と依頼者の両者が返済条件に合意すれば、和解契約が締結します。 カットする利息や分割払いの条件など、貸金業者が納得してくれないと和解には至りません。 逆に依頼者側が、悪条件に納得できない時は異議を申し立てる権利があります。 貸金業者によって手続きの期間は異なりますが、相談してから和解に至るまで3ヶ月~6ヶ月かかります。 任意整理は債務整理の中では比較的簡単な手続きなので、早い段階での解決となります。手続きの流れがスムーズであれば、1ヶ月~2ヶ月程度で済むかもしれません。 事務所によってはこの段階で初めて、専門家から連絡が来ることもあります。
STEP8, 債務の支払い開始
一般的な手続きの流れとしては和解契約が締結してから2週間程度空けて、減額した借金の返済を開始します。 任意整理は複数の貸金業者に対して交渉を行うことも可能です。 複数の債権者がいる場合、和解契約で決まった内容に沿って随時支払いが開始されます 和解契約に従って支払いを行い、この段階で不都合が生じても契約を破棄することはできません。 貸金業者への返済と併せて、専門家への支払いも行う必要があります。 借金返済と同時に支払うのが難しい場合は委任契約を結ぶ時に、借金が完済してから支払いを開始することを交渉しておきましょう。
任意整理の手続き期間の注意点について
着手金の支払いが終わらないと交渉に入らないケースがある
任意整理を専門家に依頼すると、賃金業者に受任通知を送付することで請求を止めることが出来ます。 請求が止まり、その間に支払わなくなった分で、弁護士や司法書士などの専門家に分割払いや後払いで支払うことが一般的です。 しかし、着手金の支払いが完了しないと交渉に入らない法律事務所もあるので注意しましょう。 その場合は、受任通知は送り請求を止めますが、分割などで着手金を支払っている間には何も交渉しません。 受任通知を受け取った賃金業者にとっては、任意整理の手続きが進まないと請求を再開することができないので、交渉しない期間が長くなるのは困るのです。 そこで、受任通知を送ったまま交渉が始まらないと、債権者は訴訟を提起する可能性があります。 よって、着手金の支払い方や交渉タイミングは、事前に確認しておくことが必要です。
任意整理の交渉期間中は待つだけ
任意整理を専門家に依頼した時は、専門家が代行して債権者と話し合いを進めていきます。 その間に自分はすることがないので、連絡を待つだけです。 交渉期間中に現時点での状況を教えてくれる事務所もあります。 しかし、交渉成立まで連絡が来ないことも珍しくありません。 連絡がないことで不安になってしまうかもしれませんが、他の債務整理方法と比べ、裁判所に出頭、調停委員との面談がなく、交渉を待つだけなのはメリットでもあります。 もし気になる方は連絡して現状を聞いてみましょう。 聞くこと自体は何も問題はありません。
任意整理後の返済期間の目安
任意整理後の返済期間は基本的には3年
任意整理では借金の減額や利率の引き直しを行う事になりますが、手続き後の返済金額は原則として3年間で完済する事が求められます。 返済期間が原則3年とされているのは、債務整理の手段の1つである「個人再生」が裁判所の調停案に従って3年間での返済を基本としている為です。 また、3年間というスパンは債務者の家庭環境や仕事の状況に大きな変化が生じにくく、返済金の支払い能力に影響が出ないひとつの目安とされています。
最長5年まで返済期間を延ばすことができることもある
任意整理の返済期間は原則3年ですが、毎月の収入と返済額のバランスが取れず生活に支障が出る場合は最長5年まで延長してもらえるケースがあります。 但し、当事者同士の任意交渉である為自由に返済期間を延長出来る訳では無く債権者の同意が必要となります。 返済期間の設定には過去の返済履歴や債権者との取引期間なども参照されますが、弁護士など代理人の交渉術による影響が大きいと言えます。 実績や知識のある専門家が窓口となる事で、債権者との交渉の幅が広がります。
任意整理後の債務返済期間中の知っておくべきこと
支払いに遅れない
任意整理を専門家に依頼した際、分割払いで対応してくれることもあります。 しかし、支払いが遅れてしまうと弁護士が辞任してしまう場合があります。 専門家費用を2回滞納してしまうと、お金にルーズな人だと思われてしまい辞任してしまう可能性が高いです。 もし、辞任してしまったら任意整理の手続きはやり直しになり、他の専門家に依頼しなければいけなくなります。 もし費用に関して困ってしまったら、すぐに連絡して相談するようにしましょう。
繰上げ返済はできる
任意整理の和解成立後に繰上げ返済をすることも可能です。 ただし、任意整理では基本的に利息をカットすることができるので、あまりメリットはありません。 それでも早く返済したいのなら、よく考えてから行いましょう。 担当の弁護士や司法書士に相談するのも大切です。
任意整理後にブラックリストに載ってしまう期間とは?
ブラックリストとは
個人信用情報とはクレジットカードを作ったりローンを組んだりする際の与信審査に利用される情報です。 氏名、性別、年齢、職業などの基本情報をはじめ、年収、契約内容などが記録されています。 個人信用情報を管理している信用情報機関はJICC(日本信用情報機構)、CIC(株式会社シーアイシー)、JBA(全国銀行個人信用情報センター)の3つです。 延滞などの金融事故を起こすと個人信用情報に記録されます。 よく「ブラックリストに載る」という表現を使いますが、これは事故情報が個人信用情報に記録されている状態である事を指しているのです。
ブラックリストに載ってしまう期間は5年間
任意整理の記録の取扱いは、個人信用情報機関によって差があります。 信用情報に「債務整理」とはっきり記載されるのはJICCだけです。 JICCでは弁護士から任意整理の受任通知を受けた時点で異動情報として記録します。つまりブラックリスト入りすることになり、5年間はこの記録が保持されます。 CICでは、任意整理をしても「異動」扱いにはならず、直接ブラックリスト入りすることはありません。 3か月以上の延滞は金融事故であり信用情報には「異動」と記載され、任意整理後に債務を完済してから5年間は記録が保持されます。 JBAの場合も任意整理そのものの情報は記載されませんが、「代位弁済」が記録されることが多くなります。 銀行系の場合、弁護士から任意整理の介入通知を受けると、保証会社が債務者の代わりに一括で支払いをする代位弁済が行われるのが普通です。 債務者はその後保証会社に返済を行うことになります。 代位弁済は事故情報なのでブラックリスト入りとなり5年間記録されます。 つまり、内容は違っても任意整理を行うと5年間はブラックリストに載ってしまうと言えます。
ブラックリストに載っている間のデメリット
任意整理を行ってブラックリストに載っている期間は、キャッシングをしたり新しくクレジットカードを作ることは出来ません。 住宅ローンや自動車ローン、ショッピングローンなども組めなくなります。 各個人信用情報機関はCRIN(Credit Information Network)というネットワークを作って一部の信用情報を共有しています。 その詳細は明らかではありませんが、事故情報は共有していると言われており、任意整理を行った相手の金融機関以外であっても審査に通る事は難しくなります。 また各金融機関は、個人信用情報の記録を定期的に審査する与信を行っています。 このため現在使っているクレジットカードであっても、更新時の審査などによって使えなくなるという恐れもあるのです。
まとめ
任意整理手続きは引き直し計算を行って正しい債務額を把握したら、返済期間や返済金額、金利の見直しを債権者と交渉していくというのが基本的な流れとなります。 任意整理にかかる期間は一般的に3ヶ月から6ヶ月と言われていますが、債権者によって異なる場合があるので注意しましょう。 借り入れの内容によっては任意整理が有効ではない場合もありますが、日々の返済に悩んでいるのであれば、まずは弁護士等の専門家に相談することが大切です。
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